かたり・三味線教授いたします。
稽古場:千年文庫 八王子市戸吹町332-6
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お気軽にお問い合わせ下さい。出稽古可。

九州公演 台風18号と共に去りぬ 

台風除けのおまじないは、効いたのか効かなかったのか・・・

改めまして「ふくちのち」図書館での公演が中止になりましたことお詫び申し上げます。次回の企画を楽しみにしております。

さて、「水はみどろの宮」の公演ができなかくなったので、急遽、熊本橙書店でのイベントで、ほんの触りだけですが、権の守の所をやらせていただきました。それというのも偶然にも、「穿(うげ)の洞窟」を発見してしまったからでした。

 私たちは、物語に出て来る「穿の宮」が実在しているとは思っていなかったのです。ところが、宮崎との県境近く、緑仙狭という秘境の中に、「穿の洞窟」というのがあって、それを御神体とする「穿神社」があるというのです。雨の中、捜し廻りますが、なかなか見つかりません。地元の方に尋ねてようやく辿り着くことができました。由緒書きによると、ここは、緑川の源流で、昔は「みどりの宮」と呼んだと書いてあるではありませんか。まさに、「水はみどりの宮」ということなのでした。石牟礼さんは、このことを踏まえて、この物語をかかれたのだと納得。その興奮さめやらぬ内に、その夜のイベントになった訳でした。

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遙拝所から穿の洞を拝礼する

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橙書店で「水はみどろの宮」の部分「権の守」を語る

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「権の守」の話しはだんだん、山伏の話となり、当然「修験」の話しになる。先日の出羽三山峯入り修行の話しが大受けでした。

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さて、翌日は、久留米へ。3回目になるデイケア「みんなの時間」イベント。前半、山椒太夫「骨拾いの段」で震撼としていただき、後半はがらりと変わって、姜信子作「犬道成寺」で、笑っていただきました。今年も職員のみなさんが大活躍。主役犬清姫役は、中村ひろみさん。フクロウの村人、淵田さん。カエルの飛脚、会津さん。タヌキの坊さん、日高さん。サルの船頭、北村さん。ぶっつけ本番、ありがとうございました。

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又、来年もよろしくお願いいたします。

下北沢 lete 犬たちの集会

シンガーソングライターの末森英機氏は「狂犬英機」と呼ばれている。ダブラ奏者のディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ氏は、「打犬」というらしい。姜信子氏が「妄犬」であるのは、作品からも周知の事実であるが、そんな犬たちの集会に参加してみた。実は来月の「よみがえる説経祭文の夜」のスペシャルゲストは、この「狂犬」様と「打犬」様なのである。ギターとタブラの中に入って、三味線には何ができるのだろうか????それにしてもギターのカポというのは便利なものだ。しかし曲ごとに変調するので、素晴らしい演奏に三味線がちっともついていけない。口惜しい、こっちもカセをかければいいのか、調子を変えればいいのか、右往左往。ふう、慣れないセッションで疲れ果てる。一方タブラはもっと凄い。三味線だろうがなんだろうが、的確に合わせて来てくれる。天にも昇る心持ちである。最後に私は、「山犬」と命名された。犬の仲間に入れられたらしい。次回は、三味線「山犬八太夫」と名乗らねばならないか・・・

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ギター:末森英機

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タブラ:ディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ

追記;

あんまり口惜しかったので、帰ってから、自在カセを拵えた。カセはあるにはあるが、サワリのあるカセでは動かせないので、サワリは犠牲にしてスライドできる様にしてみた。これで、ギターにもついていけるか?

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よみがえる説経祭文の夜 第1回目 魔界転生!?

説経祭文が月一回でも聴ける。あそこに行けば説経祭文を聴ける。そんな継続的な企画ができる場所はなかなかない。そもそも、八王子戸吹の稽古場で、そうした試みをしようとも考えたが、なにしろ僻地である。人が集まるわけもない。

そんな中で出合ったぴったりの場所が、国立駅前のギャラリービブリオである。立地といい、建物といい、風情といい、お座敷芸には最適の空間であり、そこそこの収容人数を確保できる。

さて、「よみがえる説経祭文の夜」第1期のシリーズが始まりました。第1期は薩摩若太夫正本による山椒太夫を3回に渡って通します。第1回は「船別れ」と「宇和竹恨み」の段を繋いで聞いていただきました。第2回(10月14日)は、「山別れ」と「国分寺」を繋いでお聞き戴きます。第3回目(11月25日)は「骨拾い」の段です。かなり間引きの通し狂言ではありますが、祭文山椒太夫独特のストーリー展開をお楽しみいただけることと存じます。

また、毎回後半の出しものでは、新作今様祭文等、現代的にアレンジした演目で三味線による語り芸に親しんでいただきたいと考えております。第1回目の「件」では、やはり100年近い建物の屋敷神が降りてこられたようでした。

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上:海を背景に、宇和竹の恨みを演ずる。下:件が出現

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段々、背景にうもれて行く八太夫・・・・おそろしい・・・そこに、平塚魚八のアフリカ太鼓が拍車をかける。

ご参集の皆様、ありがとうございました。打ち上げもにも残っていただき、楽しい時間を過ごすことができました。今後とも宜しくお願いいたします。

 

今様祭文 件(くだん)

8月の末に磐梯山に登拝したのは、猿八座福島公演のついでの思い立ちに過ぎなかったし、9月に入って出羽三山に峯入りしたのも、みんなの都合でそうなったのに過ぎない。9月9日明日、重陽節句に「件」を演ずることとはなんの関係もなかったはずである。なのに、この2週間に起こった様々の事は、「件」をリメイクして演じさせるために、件が企んだのかもしれないと、密かに思っている。

だいたい磐梯山で、かつて修験が大変に盛んであったということは、山麓の恵日寺に行って初めて気が付いたようなものだ。磐梯山は、磐(いわ)と天を結ぶ梯子の山であり、「いわはし」明神の山であるということも知らなかった。亡くなった人の霊は、羽山から磐梯山を昇り、やがてその山頂から天への梯子を昇って行くのだ。

「そうか、つまり、磐梯山に登ると言う事は、あの世へ行く事なのか。」と思いながら登山口へ車で上がっていった。その時、道端に突然、転がり落ちてきたものは・・・

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ええっ!何にみえるだろうか?実は熊である。しかし、どう見ても件に見える。いや件にしか私には見えない。とすると、あれは、件になった私か。もう、ここはあの世なのか・・・件が、天へ昇る「いわはしご」へと導く

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屋敷妙子絵:件

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磐梯山山頂の磐梯(いわはし)明神

内田百閒の「件」、さらっと読めばさらっと終わるが、読めば読むほど、分からなくなって行く。なにをどう演じたらいいのか。説経や浄瑠璃とは創る世界がまったく違う・・・むううう。姜信子の監修・演出が入ってさらに苦しむ。「件」は、生きているんだか、死んでいるんだか分からない。

そんな時に、思い当たったのがチベット経典の「バルドゥ・トドル」だった。「バルドゥ」とは「中有」と訳されている。まさにこの世と、あの世の間の話しである。

「ああ、私は『件』を演ずるために、バルドゥの道を歩く事になっているのだな」と思った。それは、出羽三山まで続いていたのである。月山もあの世の山である。私は月山で「件」が生まれ出た、月の輝く原野を見た。

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月山にて

月山の山頂小屋に一泊。夜半晴れ上がった夜空に、満月少し前の明るい月。照らし出されて、銀色に光る草原の真ん中に、只一人立ってみた。「件が見た景色はこれか・・・」

さて、リメイク「件」は、明日どんな顔をして現われるのだろうか・・・

9月は九州にうかがいます。

福岡県の福智町立図書館は「ふくちのち」というのだそうです。なんのことかと思いましたら、「知」と「地」を掛けての命名のようです。大変意味深い事だと感心しました。昨年に引き続き、熊本~久留米と巡業させていただいて、今年は又新しい「地」でかたることができそうです。今年6月に東京から北九州に戻られた山福朱実さんと末森樹君との共演が楽しみです。石牟礼道子作「水はみどろの宮」を、お楽しみ下さい。

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祭文かたり、熊野を目指す

説経かたりや山伏は当然、熊野への道を歩いたことだろう。私も、なんちゃってな事ばかりしていないで、ちゃんと修行を積まねばいかんというわけで、大阪公演を機会にして、熊野古道へチャレンジすることにした。

その昔、京都からは淀川を船便で下り、大阪天満橋近くの八軒屋浜に上陸したので、熊野への道はここから始まる。第一王子「窪津王子」跡の碑を探して、熊野古道探険を開始。と言いましても、当分、車での移動。これを歩いた昔の人は、本当に凄い。

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四天王寺の熊野遙拝所へ。

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なんであれ四天王寺は、説経の聖地。何度お参りしても新しい発見があります。東門の方で役行者様に出合ってびっくり。さすがは、四天王寺です。

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さて、その後、堀越神社、安倍王子、安倍清明神社、住吉大社、境王子、大鳥神社、篠田王子、平松王子と、大阪府内の熊野街道(小栗街道とか安倍の道とも)を駆け足で見てまわり、それから和歌山県御坊市に飛びました。日高川入相花王の舞台、日高川の天田堤。現在も「天田橋」が河口近くに架かっています。この川を清姫は渡ったのかあ・・・

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2日目は、なんと台風。嵐の道成寺に我々の外に人影も無く。安珍清姫の絵解きは貸し切りで得もしたのですが・・・(嵐の安珍塚)

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昼過ぎ、もう道成寺の周辺の道路は冠水していました。慌てて脱出して、田辺市方面へ。しかし、これは避難になっていない気がする。和歌山県の各所に次々と避難勧告が出されて行く中、中辺路へ突入。清姫の家があった「真砂」へ。清姫の墓へ参る。・・・これこそ清姫の涙の雨か・・・傘も壊れてびしょびしょに。

清姫堂)

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ようやく辿り着いた熊野湯の峰。一番のお目当ての「つぼ湯」は大変なことに

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入るどころじゃありません。水没していました・・・絶句・・・

まあしかし、宿の温泉を満喫して、十分に蘇った気分になりました。

三日目は台風一過の晴天。またまた、駆け足で、熊野本宮~花窟神社~速玉神社~那智大社紀伊の国をぐるっと一周。巨石達を堪能。

四日目こそ、いよいよ熊野古道を歩く。中辺路の中程、「小広峠」から「熊野本宮」まで8時間。思っていた以上に苦行でした。

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ゴールは熊野本宮大斎原の大鳥居

二十年ぐらい前に、ここを訪れた時は、伏し拝み王子で涙が出た。様々な霊が寄って来るような、もっと独特の雰囲気があったはずだが、残念ながら、今回の旅では、あまり感じられなかった。何故だろうか・・・熊野は古道では無く新道になったか?

さて、ちょっと奈良県側に越えると「十津川村」という村がある。実はこの村の知人宅にお世話になったのだが、驚いたことがある。「西川盆踊り」の稽古を見させていただいたのだが、その唄というのが、「ラッパ節」「ストトン節」「磯節」といったお座敷唄ばかりなのだ。こんな山の中にお茶屋があったのかと聞いたら、そうでは無いという。そうでは無いが、この村は相当のお大尽が沢山居たという。流石は紀ノ國(木の国)である。材木を筏に組んで、十津川から熊野川へと流して、新宮で遊んで帰って来る。そんな紀伊國屋がごろごろ居たのだという。この国はスケールが違うと思った。

 

 

説経祭文が難波にデビュー

江戸生まれの「説経祭文」は、名古屋に伝わって甚目寺の「源氏説教節」になりました。その系統が広島にまで伝わって、「眺楽座」になりましたが、いったい大阪で、「説経祭文」が演じられたことがあるのかどうかは不明です。ひょっとして・・・前代未聞のことであったのかも。

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いちばんうけたのは、デロレン祭文だったかもしれません。

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説経祭文山椒太夫骨拾い段

解説・絵解き:姜信子 (作画:山口愛

三味線弾き語り:渡部八太夫 

笛・太鼓:花井光雄

ミュージックソー:太田テジョン

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即興チンドンばんど「THEチンドン祭文」(本邦初公開)

左から 銅鑼・太鼓:姜信子 三味線・唄:八太夫 

    二胡:太田テジョン 笛:花井光雄

    ひょうたん(波音)深田純子

「ちんどんショー」と題した中身は、お座敷遊び唄の連発。「ストトン節」「チンライ節」その外。写真は、お別れの曲「海上節」

この会場は、大阪市西成区通天閣のすぐそばという大阪らしい街でした。近くに猫塚があり、お参りして来ました。

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お陰様で、無事に勤めさせて戴きました。ありがとうございます。

今回の企画に当たっては、アムシーミュージックオフィスの稲本直氏にご尽力いただきました。さらに翌日には、和歌山県紀の川市にまで御案内いただき、下鞆渕という村で新しい出合いを作っていただきました。返す返すも御礼申しあげます。大阪、和歌山の皆さん、今後とも宜しくお願いいたします。

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 ケセランぱさらん+八太夫 憧れのちんどんに参加できたのも大きな収穫でした。

(呼び込み風景)