稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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新潟市北書店 「さまよい安寿」の夜

8月6日、7日は新潟まつりで、市内はどこもかしこもフィーバー気味でしたが、それにもめげず、「さまよい安寿」の元に集ってくれた方々がいらっしゃったのでした。誠にありがとうございました。

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新潟日報の森澤氏の司会進行で、作家姜信子と屋敷妙子画伯の妖しい「さまよい安寿」誕生の物語が、明かされました。日々、新しい創作をするというのは、大変なエネルギーが必要です。特に姜氏が書かれた文章から、どうして、このような屋敷画伯の絵が生まれ出てくるのかという疑問が解けた気がしました。

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後半は、八太夫が、説経祭文三荘太夫「骨拾い」の段をかたりました。まだほやほやの新譜です。このところ、いろいろな方々の舞台を見聞きして、学んだことを取り入れてみました。三味線の奏法上の技能に関わることですが、三味線でもまだまだ、違う音の出し方ができそうだということにきがつきました。ひとつが、糸を「押さえ叩く」こと。これは、もともと三味線の奏法に、あることはありますが、撥ではなく、弾力のある竹へらで押さえてみると、面白い雑音が発生します。

 写真は、安寿の霊が、出て来るところですが、普通は、太鼓で、どろどろっとやるところです。それらしくできないかと、叩いたり、こすったり、いろいろ試した結果、馬毛で弓を作り、胡弓の要領で、弾いてみることにしました。実験に付き合っていただくことになりましたが、それなりに、効果はあったようです。

右手に持っているのは、手製の短い弓です。

説経祭文 薩摩若太夫正本 三庄太夫 全36段 

今年は、どういう風の吹き回しなのか・・・仕事が説経祭文の方に向いています。昨年から取り組み始めた、古説経正本のテキスト化が停滞している分、説経祭文のテキスト化が随分と進みました。説経祭文「三庄太夫」は、七段目「宇和竹恨みの段」で停まっていましたが、気合いを入れて、ようやく36全段をアップすることができました。

かたりもの八太夫会/web千年文庫:説経祭文の部屋をご覧下さい。

七段目で終わっていたのは、取りあえず、新潟市民大学で演ずる為に「宇和竹恨みの段」のテキストを確定する為だったからですが、今回は、この「宇和竹」の様に、「祭文」特有の筋立ての段は無いかなあと読み進めたのでした。順番で候補になるのは、23段目「国分寺」ですが、それよりも祭文らしい所は、27段目「骨拾い」です。8月6日(土)の新潟市「北書店」で披露する予定です。是非、原文をご覧下さい。

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説経祭文 三荘太夫 於:新潟市 北書店

8月6日には、新潟市役所前の北書店さんにお邪魔をします。昨年、新潟日報に連載された「さまよい安寿」に関するイベント。作家姜信子氏と画家屋敷妙子氏のさまよえる対談のおまけで、三荘太夫を語ります。先日、新潟市民大学で、「宇和竹恨み」の段をお聞き戴いたばかりなので、演目は検討中です。屋敷妙子氏の原画展は、7月26日より、新潟日報メディアシップにて。そちらにも是非、足をお運び下さい。

北書店ブログもご覧下さい。

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水はみどろの宮 於:荻窪タイトル

 

ほぼ、二ヶ月ぶりの、東京での「水はみどろの宮」でしたが、この二ヶ月の間に、たった二ヶ月ではありますが、熊本巡業等もあったこともあり、初回とは、また全然違うもの、進化しております。それは、なんといっても、毎回様々な方々とセッションすることで、鍛えられてきたのだと思います。今回は、クラリネット奏者の今村純子氏にご協力をいただきました。柔らかいクラリネットの音が、緊張を作りだす三味線の合間で、ほっと胸をなでおろします。

クラリネットとのコラボはこちらから

youtu.be

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 タイトルの店内

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アメリカへ帰国直前の伊藤比呂美氏。

忙しい所、駆け付けていただき、詩「般若心経」他を朗読していただきました。初めてお会いしましたが、さすがに、インパクトありました。

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山福朱実原画展

 

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姜信子氏 山福朱実氏 今村純子氏 木村友祐氏  (撮影:田中庸介氏)

また、みんなで、「祭り」をいたしましょう。

えいえいほうほう、えいほうほう。

今様祭文 はじまりはじまりはじまり

姜信子の「はじまりはじまりはじまり」の神話を「今様祭文」で語る。「ソルムンデハルマン」「まゆんがなし」外

8月19日(金)19:00~20:00

於:チェッコリ

イベント詳細は以下のリンクから

http://www.chekccori.tokyo/my-calendar?mc_id=148

 

東京ー熊本往復  祭文行脚2881Kmの旅

6月7日(火)に東京を出発。

初日は雨の京都でした。

あふれんばかりの本に囲まれて(於:カライモブックス)

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京都の仲間:番匠健一さん(アイリッシュフルートの演奏)

 

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 水はみどろの宮(Project8man)

6月8日(水)

広島に移動。午後は、宮島に渡り、厳島神社を参拝しました。

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6月9日(木)

広島大学での姜信子特別講義で、説経祭文山椒太夫「宇和竹恨みの段」を弾き語りました。

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6月10日(金)

午前中は、廿日市市原にある眺楽座にお邪魔して、「説経源氏節」との交流をしました。「説経源氏節」は、説経祭文と親戚筋の芸能です。人形の扱いも独特でしたが、舞台装置に圧倒されました。お互いの節を、聞き比べましたが、共通する節遣いがあって、びっくり。

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腰幕の中では、客席に背を向けて座り、長い胴串と手につけた棒で操る。

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手作りのきらびやかな襖を、何枚もつるして、切り替える。

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眺楽座の方々の演奏。佐倉宗吾義民伝。私は、葛の葉の台本をみつけたので、これをお返しに演奏しました。眺楽座では、お蔵になってしまっているとのことでした。 

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今回は、芝居としては見ることができませんでしたので、次回は、芝居を見に行きたいと思っております。

 

 その日の夜は、広島市八木の「カフェ・テアトロ アビエルト」にて、「水はみどろの宮」(Project8man)

「みどろの宮」に広島の仲間達が参加して、一夜限りの、いのちのまつりが開かれました。

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仕舞:丸町年和

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フラダンス:中野千春

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ダンサー:大槻オサム

そして、島村喜八郎師匠、素晴らしい笛を付けていただき、誠にありがとうございました。

 

6月11日(土)

山口県秋吉台に寄って、秋吉洞を見学。おお、これこそ、「みどろの宮」だあ。

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夕方、いよいよ、下関へ。赤間神宮へ参拝。

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耳なし芳一さんへお参りしないわけには行きません。

こうして、いよいよ、北九州へと渡りました。

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緊張の関門トンネル

6月12日(日)公演最終日、午後と夜のダブルヘッダー。この日は、山福・末森が合流して「はじまり一座」としての公演。

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水はみどろの宮(はじまり一座):於 北九州市立文学館

夜の部は、門司港のスタジオKUにて、沢山の北九州の仲間達と。さまざまな手配をいただいた谷瀬さん、ありがとうございました。

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まつりに熱狂する会場・・・いったいなんのライブか???

韓ソリ :李征光・劉由美子・権英華・梁江美

バイオリン :谷本仰

播磨陰陽師 :尾畑雁多

舞い人   :坊内由香

ホーメイ  :松尾容子

ダンサー  :つかのみき

映像    :竹下和輝

 

かくして、あつまったカンパは、約12万円でした。皆様の志しを大切に、熊本に届けます。

 

6月13日(月)

余震がまだ続く熊本入り。熊本城や家々の惨状に、胸は痛みましたが、橙書店が、通常の営業をされていて一安心。その様子は、既にFBでご覧いただいたことと思います。店主の田尻久子さんに勧められて、突然ではありましたが、石牟礼道子さんを尋ねることになりました。大変に光栄なことに、石牟礼さんの詩「花を奉る」の一節を聞いていただくことができました。

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石牟礼道子

この夜は、熊本の仲間が集まって、旅の報告会をさせていただきました。「肥後狂句」が面白かったですね。

6月14日(火)

震災ボランティアとして、御船町や益城町を訪問。ちょっとだけでしたが、お手伝いをさせていただきました。

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震災で飛び散ってしまった活字を、揃えます。といっても素人ですから、取りあえず、大きさの同じ物を集めて、箱に並べて行きます。いずれは、あいうえお順に抜き出していかなければならないかと思うと気が遠くなる仕事です。池田活版印刷所。

 

6月15日(水)

熊本にいる間に走行距離が1500Kmを越えました。

14日は夕方に、熊本を出発。山口県防府付近で沈没。15日もひたすら走り続けて奈良まで戻って来たのでした。

6月16日(木)

せっかくなので、説経散歩をして行こうということになりました。京都山科を抜けて、逢坂へ。説経といえば、「蝉丸神社」

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さらに、大津へ降りると、「小栗判官一代記」で照手姫が、餓鬼阿弥車を曳いて来た終着地「大津関寺玉屋」のあった付近に、「関蝉丸神社」があります。どちらも説経の徒には、重要な神社であったとのことです。照手が小栗を曳いて来た逆コースを辿りながら、出発地点の「岐阜県大垣市青墓」を目指します。

この日は、あいにくの雨で、「瀬田の唐橋」「三上山」「鏡山」

中山道を辿り、鏡の里では、「源氏烏帽子折」の「烏帽子折り屋」がここにあったと知ってびっくりしました。

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鏡神社にて

摺針峠の旧道が大変せまくて辟易としましたが、はじめて番場付近も通ることができました。

説経とは、はなれますが、多賀大社にお参りして、この日はおしまい。

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6月17日(金)

もう疲れましたから、帰りましょう。と言いながらも、中山道探索を「醒ヶ井」「柏原」「今須」「関ヶ原」と続け、ようやく「青墓」に辿り着きました。f:id:wata8tayu:20160618155137j:plain

八幡正八幡にお参りしてから、一路、八王子へ。トンネル事故以来、何年かぶりの中央高速でしたが、車線も広くなって、走り易くなっていました。無事に帰還。

走った距離よりも、ほんとに沢山の方々にお世話になりました。

おかげさまで、まだ、祭文も捨てたもんじゃないなと思いました。今後とも、ご支援の程、よろしくお願い申し上げます。