稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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よみがえる説経祭文の夜 第2回目 ケモノたちが現れた

国立ビブリオでの「説経祭文の夜」第2回目は、第1回に増してエキサイティングな夜となりました。これも、ゲストのディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディのタブラが妖しく絡みついてくるからでしょう。タブラが、本当に神を降ろしました。私の怪しい神下ろしより確実です。

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説経祭文山椒太夫山別れ・国分寺段(姜信子脚色)

タブラとの共演は勿論、初めての試みでしたが、何を弾いてもすっと入って来ていただけるので、大変気持ちが良かったです。

さて、肝心の「国分寺の段」も、現代的にアレンジして、今様仕様に姜信子が脚色したものの初公開でした。この段自体、肉声で語られたのは何十年?何百年ぶりかわからないぐらいレアものですが、楽しんでいただけたようで一安心。

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姜信子作「妄犬日記」を著者自身がかたる

これも、初公開(内輪ではやっているのですが)女「K」が強烈です。BGMが長唄「鷺娘」。地獄まで引き回さなければなりません。これも、結構、力業。多分、長唄には聞こえません・・・(浄瑠璃長唄・・・?)

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宮沢賢治星めぐりの歌」狂犬こと末森氏の登場で、妄犬、狂犬、打犬、山犬の四犬の揃い踏み。先日つくった、自在カセは役に立ったが、ご愛敬程度のセッションで、すいませんでした。それにしても、今回は、異種格闘技的なセッションが、大変面白かったです。

さて、来月は第1期最終回。11月25日(土)です。ご期待下さい。

恵泉女子学園大学大学院国際シンポジュウム

「旅するカタリ、越境する声のチカラ」11月4日(土)午後1:00より

女子の大学ですから。当然、女子なんです。テーマが。「世界を震わす女」を演じろというわけです。怖いですねえ。恐ろしいですねえ。この世で一番怖いのは、女です。萱森直子さんが、瞽女唄で、「山椒太夫 舟別れ」つまりは宇和竹の恨みですね。パンソリは安聖民(アン・ソンミン)さんで、シムチョンガ。娘シムチョンは、父親の目を開けるために身を売りますが、その結末が凄い。説経祭文は、八太夫が日高川入相花王。私だけ、男・・・焼き殺されるのは、私か?

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よみがえる説経祭文の夜 第2回目 ケモノたち現る

大好評の国立ビブリオ公演の第2回目は、10月14日(土)です。

はじめての、連続公演企画なので、おっかなびっくりなんですが、二度と同じ事はできないので、二度と同じものは見る事が無いと思っていただいて良いと思います。さて、2回目は、祭文と婆羅門の共演・・・仏・神・山伏・ヒンズーで何が出て来るのか。やる方が楽しんでいてはいけませんが、本当にわかりません。来ていただかないと、説明もできないでしょう。その上、姜信子の話題作「妄犬日記」を、本人が朗読というレアな企画や、狂犬ヒデキこと末森さんのギターが吠える等、かいもく見当がつきません。

ほんとに、アドリブな夜になることでしょう。

因みに、私の演目「説経祭文山椒太夫:国分寺」は、本当に初演です。

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九州公演 台風18号と共に去りぬ 

台風除けのおまじないは、効いたのか効かなかったのか・・・

改めまして「ふくちのち」図書館での公演が中止になりましたことお詫び申し上げます。次回の企画を楽しみにしております。

さて、「水はみどろの宮」の公演ができなかくなったので、急遽、熊本橙書店でのイベントで、ほんの触りだけですが、権の守の所をやらせていただきました。それというのも偶然にも、「穿(うげ)の洞窟」を発見してしまったからでした。

 私たちは、物語に出て来る「穿の宮」が実在しているとは思っていなかったのです。ところが、宮崎との県境近く、緑仙狭という秘境の中に、「穿の洞窟」というのがあって、それを御神体とする「穿神社」があるというのです。雨の中、捜し廻りますが、なかなか見つかりません。地元の方に尋ねてようやく辿り着くことができました。由緒書きによると、ここは、緑川の源流で、昔は「みどりの宮」と呼んだと書いてあるではありませんか。まさに、「水はみどりの宮」ということなのでした。石牟礼さんは、このことを踏まえて、この物語をかかれたのだと納得。その興奮さめやらぬ内に、その夜のイベントになった訳でした。

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遙拝所から穿の洞を拝礼する

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橙書店で「水はみどろの宮」の部分「権の守」を語る

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「権の守」の話しはだんだん、山伏の話となり、当然「修験」の話しになる。先日の出羽三山峯入り修行の話しが大受けでした。

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さて、翌日は、久留米へ。3回目になるデイケア「みんなの時間」イベント。前半、山椒太夫「骨拾いの段」で震撼としていただき、後半はがらりと変わって、姜信子作「犬道成寺」で、笑っていただきました。今年も職員のみなさんが大活躍。主役犬清姫役は、中村ひろみさん。フクロウの村人、淵田さん。カエルの飛脚、会津さん。タヌキの坊さん、日高さん。サルの船頭、北村さん。ぶっつけ本番、ありがとうございました。

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又、来年もよろしくお願いいたします。

下北沢 lete 犬たちの集会

シンガーソングライターの末森英機氏は「狂犬英機」と呼ばれている。ダブラ奏者のディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ氏は、「打犬」というらしい。姜信子氏が「妄犬」であるのは、作品からも周知の事実であるが、そんな犬たちの集会に参加してみた。実は来月の「よみがえる説経祭文の夜」のスペシャルゲストは、この「狂犬」様と「打犬」様なのである。ギターとタブラの中に入って、三味線には何ができるのだろうか????それにしてもギターのカポというのは便利なものだ。しかし曲ごとに変調するので、素晴らしい演奏に三味線がちっともついていけない。口惜しい、こっちもカセをかければいいのか、調子を変えればいいのか、右往左往。ふう、慣れないセッションで疲れ果てる。一方タブラはもっと凄い。三味線だろうがなんだろうが、的確に合わせて来てくれる。天にも昇る心持ちである。最後に私は、「山犬」と命名された。犬の仲間に入れられたらしい。次回は、三味線「山犬八太夫」と名乗らねばならないか・・・

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ギター:末森英機

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タブラ:ディネーシュ・チャンドラ・ディヨンディ

追記;

あんまり口惜しかったので、帰ってから、自在カセを拵えた。カセはあるにはあるが、サワリのあるカセでは動かせないので、サワリは犠牲にしてスライドできる様にしてみた。これで、ギターにもついていけるか?

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よみがえる説経祭文の夜 第1回目 魔界転生!?

説経祭文が月一回でも聴ける。あそこに行けば説経祭文を聴ける。そんな継続的な企画ができる場所はなかなかない。そもそも、八王子戸吹の稽古場で、そうした試みをしようとも考えたが、なにしろ僻地である。人が集まるわけもない。

そんな中で出合ったぴったりの場所が、国立駅前のギャラリービブリオである。立地といい、建物といい、風情といい、お座敷芸には最適の空間であり、そこそこの収容人数を確保できる。

さて、「よみがえる説経祭文の夜」第1期のシリーズが始まりました。第1期は薩摩若太夫正本による山椒太夫を3回に渡って通します。第1回は「船別れ」と「宇和竹恨み」の段を繋いで聞いていただきました。第2回(10月14日)は、「山別れ」と「国分寺」を繋いでお聞き戴きます。第3回目(11月25日)は「骨拾い」の段です。かなり間引きの通し狂言ではありますが、祭文山椒太夫独特のストーリー展開をお楽しみいただけることと存じます。

また、毎回後半の出しものでは、新作今様祭文等、現代的にアレンジした演目で三味線による語り芸に親しんでいただきたいと考えております。第1回目の「件」では、やはり100年近い建物の屋敷神が降りてこられたようでした。

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上:海を背景に、宇和竹の恨みを演ずる。下:件が出現

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段々、背景にうもれて行く八太夫・・・・おそろしい・・・そこに、平塚魚八のアフリカ太鼓が拍車をかける。

ご参集の皆様、ありがとうございました。打ち上げもにも残っていただき、楽しい時間を過ごすことができました。今後とも宜しくお願いいたします。