ご挨拶
皆さん、こんにちは。渡部八太夫です。
私は東京多摩地区の農村歌舞伎を出発点に、義太夫、長唄、説経祭文、文弥節(古浄瑠璃)と修業を重ね、独自の語りと三味線の道を切り拓いてきました。
八王子戸吹に2009年に説経稽古所として看板を掲げ、次いで2011年に三味線教室薩摩会を立ち上げ、2013年に13代目薩摩若太夫名跡の返上に伴い、薩摩会を八太夫会と改めました。
このたび、2016年 丙申の年を、佳きはじまりのときとして、あらためてみずからの来し方を見つめなおし、説経稽古所としてはじまった当会の看板を新たに掲げ直すことと致しました。
時は移ろえども、志はつねに<語り>とともにありました。
その思いも新たに、<八太夫会>は、<かたりもの 八太夫会>と名を改めます。
<かたりもの>に三味線は大変重要な要素です。今までどおり、語り物と三味線を稽古する三味線教室に力を注いでまいります。
<かたりもの>の世界をより学ぶために、稽古場に各種資料・書籍を収めた千年文庫を併設します。また、ネット上に<web千年文庫>も開設いたしました。
稽古場は、時には「語りの場」となり、多くの方々と、語る楽しみ・聴く喜びを分かち合うこととなりましょう。
わたくし、渡部八太夫は、今の世の、険しい語りの道をゆくものたちと、声を行き交わしていきたいと願っています。
人と神と、夢とうつつと、生と死と、あちらとこちらの「あわい」の場所で、太古の言問う草や木や石や水や風のように、野に生きるモノたちのように、地べたをさすらう者たちのように、
生きとし生けるものたちの、声なき声の物語を、渡部八太夫は語ってまいります。
何卒よろしくお願い申し上げま す。