今月、4月の下旬には、ぷねうま舎から、姜信子の著作が出版される。
「現代説経集」
日本は、明治以降、ずっとへんてこりんな狂った世界だ。江戸時代より以前が、諸手を挙げてとっても良い世界だったと思っているわけではないが、どっちが人間的に暮らせたのだろうかと思う。明治政府ご登場以降にでっち上げられてきたことどもが、150年たって腐敗臭にまみれている。今、説経という語りに力があるとすれば、権力に隠蔽されてしまったものを掘り起こし、都合の悪い事を顕わにできるだろう。今の世の中、変すぎるんじゃないですかと。これもですか。あれもですか。私ら、すっかり騙されておりました。説経語りより、騙りがお上手です。
そんなことは、ついこの間まで、考えてもみなかった。遠い昔に亡びた芸能になにができようか。私にできることは、せいぜい、干からびてミイラ化してしまった説経の骸骨をカタカタと動かして見せることぐらいだろう。そうすれば、現代人も少しは驚くだろうぐらいなことだ。
踊り念仏。世直し。ええじゃないか。
今は、昔・・・だが
その昔は、今の世の中、変・・・だったわけだ。
どうも、説経祭文がたりが、ひと働き、せねばならんかな。
そんな風に、仕向けるあぶない本。
絵:坂本大三郎