稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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よみがえる説経祭文の夜 in 国立ビブリオ

今年は、2回しかできませんでしたが、通算5回目となった「よみがえる説経祭文の夜」。20名を越える皆々様にお越しいただき誠にありがとうございました。満員御礼。

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祭文松坂というのは、瞽女唄の中でも段物の物語を指します。日本庶民生活史料集成第17巻には、高田瞽女の「葛の葉」全3段が収録されております。これは、大変おもしろいです。だいたい説経や浄瑠璃は男性目線で作られているようですが、祭文松坂は、演者が女性なだけに、女性目線になっていると思います。母性ですね。この話しが、江州音頭河内音頭でも定番なのもわかる気がします。

そこで、その音頭風に、エレキ三味線にしてみたのが、今回の遊びでした。別にエレキにするのには、この頃は安価なピックアップマイクがありますので、アンプさえあればなんの技能もいりませんが、先ほど京都でご一緒した「ky」のフランス人ヤンから伝授してもらった「ループ」というやつは、相当の熟練がないと、簡単にはいきません。

つまり基本のフレーズを弾いて、演奏しながら、録音させて、再生させて、だんだんとバリエーションをかぶせていくわけですが、言うは易しで、流れるようにつなぐタイミングは微妙です。しかもこれは足技で、使えるのは左足です。

直前までの特訓が効いたか、なんとかうまく行きましたが、こんなに稽古をしたのは久しぶりでした。

瞽女唄のように同じフレーズを繰り返すものには、この「ループ」はおもしろい効果があるようです。

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同じく「集成」に収録されている「お岩木さん一代記」の「異聞」。姜信子の筆が冴えまして、山伏とイダコの問答になっております。背景の岩木山の神様が昇るようにみえましたでしょうか。

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左は井上イダコ。八太夫手作りのミニ梓弓をたたいて。山伏は何故か羽黒修験で、しかも、ちょっとブロークン東北弁で勘弁していただきました・・・青森ネイティブの方がいらしたので、はらはらしましたが。

しかし、この話しも、男性世界に対する飽くなき抵抗が秘められているのです。「神になるたて、どんだけ苦しみうけないば。あぶらおんけ。あぶらおんけ。あぶらおんけ。」

「あぶらおんけ」の大合唱、ありがとうございました。