国立のギャラリービブリオでの「よみがえる説経祭文」シリーズは3年間で通算7回の公演をさせていただきました。その間、常に応援と暖かい励ましを送っていただいた皆々様に感謝申しあげます。以前もどこかで書きましたが、一度あきらめていた「説経祭文」に新しい息を吹き込むことができたのは、毎回満席にしていただいた皆様方のお陰と思います。改めて1回目から並べてみますと、実に希有なプログラムです。
1回目 2017年 9月 9日 山椒太夫 宇和竹恨み段/ 今様「件」
2回目 2017年10月14日 山椒太夫 山別れ・国分寺段/ 妄犬日記
3回目 2017年11月25日 山椒太夫 骨拾い/ 今様「犬道成寺」
4回目 2018年 8月18日 信徳丸一代記 継母呪い段/ 今様「鬼桃太郎」
5回目 2018年11月10日 祭文松坂 葛の葉/ お岩木様一代記異聞
6回目 2019年 6月 9日 デロレン祭文 小栗本復段/
今様「腰まで泥まみれ」
7回目 2019年11月24日 説経源氏節 小栗判官照手姫 貞女鑑実道記
こうして、ながめてみますと、もう江戸説経にかかわらず、説経祭文に関連するものはなんでもござれでやってきたことがよくわかります。おかげさまで本当にいろいろと勉強をさせていただくことができた貴重な場であったことを改めて感じます。その場を与えてくださったギャラリービブリオ店主の十松弘樹氏に深く御礼申しあげます。
さて、今回は、奈良からの出場で、東大寺のお土産屋さんでようやく手にいれた鹿の角カチューシャを着用しての登場。
前半に紹介した「説経源氏節」は、名古屋の甚目寺と広島の眺楽座に残ってる人形浄瑠璃。特に名古屋のものは、庶民受けをねらって、より下世話になっていておもしろい。本来、説経ネタは泣き物ばかりで笑えるものが少ないのが悩みの種だが、笑える「説経祭文」としてどうしてもこれをやりたかった。姜信子の翻案も功を奏して、大受けしていただいきました。
後半のゲストはYO-EN さん。異色の組み合わせの裏には、いろいろな経緯がありましたが・・・まあ、キーワードは瞽女さんということでして、まるでビブリオ自体が「瞽女宿」のような雰囲気に包まれたところが一番よかったと思いました。やはり、瞽女さんは女性でないと勤まりません。私はいわば、「五色軍談」という感じで、これも悪くない。YO-EN さんの課題曲が、民謡「磯節」と姜信子作「母を想えば」(祭文松坂Ver.)私の課題曲が演歌「瞽女の恋歌」、YO-EN 作詞作曲「流星花」といった具合に互いに切磋琢磨した舞台になりました。
これで、終わりにしないでという声を沢山いただきました。有り難い限りです。拠点は関西に移りましたが、できるかぎり東京にも行きたいと考えています。なお今回、満席の為、残念ながらご入場をお断りせざるを得ないようなことがありまして、残念でした。この場を借りてお詫び申しあげます。