稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
問い合わせ先 wata8tayu@gmail.com

八太夫会 浴衣復習で暑気払い

台風12号のために順延とした浴衣会を稽古場千年文庫で開催。三味線のメンテを頼んでいる欅屋(大谷)さん1名がお客さん。たぶん懲りたのではなかろうか。(写真手前)長時間、ありがとうございました。

f:id:wata8tayu:20180729202410j:plain

番組1番は、久保嶋奈美 長唄末広狩(初のタテ)

最後まで、弾き通せました。

f:id:wata8tayu:20180729202605j:plain

番組2番は、姜信子 朗読「妄犬日記」より。著者自身の朗読を聞くというのは、そうそうある機会ではない。でも、ただ、聞く訳にはいかない。突然、歌唱指導がはじまる。朗読の合間、合間に合唱するように強要されるからである。宮沢賢治の「星めぐりの歌」と、アニメ「フランダースの犬」主題歌「よあけのみち」。らららーらららー。わかりますか?パトラッシュ!しっかり、歌って。

f:id:wata8tayu:20180729203452j:plain

↑おとなしく歌唱指導をうける人々。↓妄犬と山犬が吠える

f:id:wata8tayu:20180729203422j:plain

番組3番は、「三庄太夫宇和竹恨段」説経祭文弾き語り崎村良子

弾き語りに一段と迫力が加わった。暇になった八太夫がツケをつける。

f:id:wata8tayu:20180729204351j:plain

番組4番は、小栗判官一代記車引段、太夫井上秀美

悩んでいる発声法だが、だんだん説経らしくなってきた。

f:id:wata8tayu:20180729205058j:plain

番組5番 石橋迪子 長唄八島落官女

大谷さんに褒めていただき、よかったですね。

f:id:wata8tayu:20180729205316j:plain

大切りは、八太夫の山伏祭文。石牟礼道子作「椿の海の記」より「十六女郎ぽんた」初公開

f:id:wata8tayu:20180729210018j:plain

会の中で内輪の発表会は、新しい外題のテストの場でもあります。ここでリサーチをして、修正していきます。「ぽんた」の上演予定はまだありませんが、いずれ「石牟礼道子じょろり」シリーズを作り上げていこうと考えております。

さて、近日の舞台は、8月4日の忘日舎8月18日の国立ビブリオです。よろしくお参集ください。

まだまだ暑い夏が続きそうです。お身体に御慈愛ください。

 

 

 

旅するカタリ 山伏祭文と文学と  第2回目

西荻窪「忘日舎」での企画第2弾のお知らせです。石牟礼道子氏の世界「苦海浄土」・・・大作ですからおいそれとはいきませんが、ここに描かれた神々を、山伏祭文によって、少しずつ立ち上がらせていきたいと考えています。

「第一部苦海浄土第4章天の魚(イオ)九竜権現さま」に描かれている江津野杢太郎少年と爺様。私の中に衝撃的に刻まれた最初の水俣の神様を語る予定です。予定ですというのは、これからどんな神々様が訪れるか、わからないからです。その日、その時に、違う神様が降りてこられるかも・・・ 

f:id:wata8tayu:20180624145454j:plain

また、「百合若大臣異聞」は、まだ姿も形もありません。だんだん、その時にならないとわからないという、そんなライブになりつつあります。いわば、蔵出し新作発表会の様相。

旅するカタリ 山伏祭文と文学と 「現代説経集」出版記念公演

西荻窪駅近く、知る人ぞ知る本屋さん、「忘日舎」。定員は多くても12名と小さい会場ですが、店主の好みで偏った本が、ぎっしりと並ぶその空間は、我々のような異端でマイナーな者どもには、最適な空間です。そうして、お集まりいただいた奇特な皆々様方と時間を共有できたことは、なによりもって仕合わせなことだと感激する次第です。

第一部 石牟礼道子作 「水はみどろの宮」

f:id:wata8tayu:20180603154402j:plain

昨年の熊本探索の様子を紹介。実地踏査で発見した「穿の洞」の写真を提示して、「水はみどろの宮」に登場してくる実在ポイントを紹介しました。

f:id:wata8tayu:20180603154758j:plain

なんで、撥をを持った手を振り上げているかといえば、皆さんで声を上げて、お清めしているからです。「六根清浄、六根清浄」と唱える場面。だんだん新興宗教みたいに・・・

 

第二部 愛護の若 姜信子作「現代説経集」より

f:id:wata8tayu:20180603155239j:plain

おどろどろしい。延々と循環しつづける「水」が重要。今回は、ピックアップマイクを仕込んでエレキにしてみました。エフェクターの使い方にも慣れて、まずまずの水音が実現しました。

f:id:wata8tayu:20180603155415j:plain

シルエットになってしまっていますが、左側、姜信子が立ち上がって、「さあ、さあ、さあ、目覚めろ」と、皆さんに、命の問いを突きつけます・・・あまりの恐ろしさに、みんな絶句する。

キャンセル待ちでご来場いただけなかった方々、大変申し訳ありませんでした。「忘日舎」での催しは、次回8月4日(土)に予定しております。内容はまだ未定ですが、お早めに「忘日舎」03-3396-8673まで。(電話番号が間違っておりました。お詫びをして修正いたします。)

 

渦41、波高し

やっぱり、今回もまた苦い思いを噛み締める「渦」でありました。芸の道は、一目瞭然でありますから、仕方のないことでありますが、特に本日の「伝渦」のメンツの恐ろしいことといったらありません。どうして、この日に、並ばされるのか・・・やばいと思っておりましたが、本当に肝つぶされました。皆さん、面白すぎて、久しぶりに、本当に笑いました。それで、もう、自分の芸どころではなくなってしまったわけです。

バロンさんのウクレレとタップダンス。それにうっとりしていると、ヘルシー松田さんがパントマイム。風船が押しても引いても動かない。はあ、見事。

浪曲が私の前。あーあ・・・奈々福さんと美舟さんでばっさりと「百人一首」を語って、よっ、名調子。その後に、たじたじと、八太夫が、せいぜい法螺ふくしかありませんが、微力ながら「小栗判官」を勤めますが、

f:id:wata8tayu:20180503224050j:plain

太刀打ちならず・・・その上、活動弁士坂本頼光さんの、抱腹絶倒アニメ「さざざさん」・・・あああ、「伝渦」は、これだけでもよかったかも。出演したというより、笑いにいったという一日。ありがとうございました。またまた、勉強させていただきました。

f:id:wata8tayu:20180503225540j:plain

ピンチヒッター背番号8番 渡部八太夫

自分の舞台は、死んだとき以外は、絶対に穴をあけない。と誓っている。私の芸道がその穴からのスタートだったからだ。そして、人の空けた穴は、率先して埋める。これが、案外に芸の足しになる。なぜなら、多分、その穴は、既存のものでは、なかなか埋まらないからだ。なにがしかの工夫が必要となる。否応なしに、必要は発明の母とか。

 この頃、書き留めておいた、石牟礼道子さんの「苦海浄土」の一節や、アルテリに掲載されていた彼女の詩「夕焼」に感動して、節付けしておいたのものが、期せずして役に立った。控えの選手がいきなり起用されるようなかんじ。そして、改曲しておいた谺雄二氏の「死ぬふりだけでやめとけや」、なんとなく予感がしていて、いじっておいた。

 しかし、それらの作品が、どうして、一コマ受業に必要なのだろうと不思議だった。これらの作品が、私の身の回りに登場してきたのは、この4年間のことで、それ以前は、なんにも知らなかった私であるから、駆り出された大学の教室で、学生たちの無反応さを見ても驚くには値しない。私も、ちょっと前までは、そっち側だ。

 一見、無関係に思える作品が、「植民地」という体制を通して見事に、明らかにつながっていく。それが、特別講師「姜信子」の手腕。題して、特別講義「われら植民地の民と近代」、これもまた、穴故の産物。めでたし、めでたし。

f:id:wata8tayu:20180501212458j:plain

一橋大学 イ・ヨンスク先生(右)と、特別講師姜信子(左)

f:id:wata8tayu:20180501212626j:plain

写真は、水俣の半永一光氏。「苦海浄土」より「九竜権現さま」を語る。

姜 信子『現代説経集』(ぷねうま舎)刊行記念イベント「旅するカタリ」

 何が、どうなるかは、その時にならないと、分かりません。確かなことは、何かアナーキーな企てが始まるということだけです。何が、降りてくるのかは、私たちにも・・・

6月2日、西荻窪に妖しい空気が漂う。

f:id:wata8tayu:20180416104023j:plain

twitter.com