稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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説経祭文三庄太夫 第12回

暑い毎日の次は豪雨。なんらかの天災が懸念されるような夏になりました。最早、異常が正常なのかもしれません。さて、「説経」は、虐げられた人々の声です。太夫の耳にはそれが、いつも聞こえています。「説経」でないものであっても、その声を感じます。それは、「説経」として語るべきモチーフがあるのに違いありません。「山椒太夫」の最期は、首引きです。それを、暴力はいけませんなどと簡単に言う人がいますが、それは「声」が聞こえない人のもの言いです。あるいは、聞こうとしない人です。私には、うめき声が、はっきりと聞こえます。だから、語ります。山椒太夫は、今も、ここにいるからです。

 12段目は、厨子王の出世を語る段でした。ここでは、「申し子」「信太玉造の系図」「五条橋」と、説経ネタが満載。誠に「説経」らしいのですが、それもそのはず、江戸後期の説経祭文ですから、いろいろな「説経」、例えば「信徳丸」「信太の小太郎」「信太妻」などなどのエピソードやモチーフを取り入れて「ご存知」を連発するのです。今の方々には、チンプンカンかもですが・・・

 

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次回、13回目、説経祭文山椒太夫13段目は、8月7日(日)午後2時からです。今度は、いよいよ、佐渡島に母の救出に向かいます。