稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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今様祭文への挑戦

残されている薩摩若太夫の説経祭文は、もう200年ぐらい前のものです。文化財としては勿論貴重ではありますが、生の芸能という観点からすると、ちょっと食えなくなっているかもしれません。以前はそれでも、文化財なんだからそれで仕方無いと、諦めていました。まあ、謂わば、まずい物を、当然の如く、あるいは仕方無く提供していたわけです。そのうち自分でもやる気がしなくなりました。説経祭文は、もうだめだなと、捨ててしまったのでした。しかし、それをたまたま聴いた作家姜信子が妙におもしろがり、

「今を生きる語りにしてください、息を吹き込んでください、そうしたら語りがよみがえる」

と言い出したのです。その言葉に背を押されて、「今様祭文」というものが生まれてきました。現代的な手を入れた祭文と言う意味です。この3年ぐらいの間に、様々な取り組みをしてきましたが、だいたいこんな特色が出て来ました。

①姜信子の著作に節を付ける(例:ソルムンデハルマン)

②文学をベースにして、姜信子が翻案したものに節をつける

(例:件 水はみどろの宮 みみなし芳一)

③古典をベースにして、姜信子が脚色したものに節をつける

(例:山椒太夫宇和竹恨み・骨拾い)

振り返ってみると、「今様祭文」というのは、渡部八太夫と姜信子の活動の軌跡となっています。

さて、その、「説経祭文」のよみがえりを、いよいよ世に問うというのが、今回の企画です。題して「よみがえる説経祭文の夜」

9月から月一回、11月までの三回を企画してみました。毎回、異なるゲストと新しい試みが計画されているので、どの回も二度と同じ事は出来ない、起こらないという事になりそうです。

9月は手始めなので、既に出来ている演目ですが、10月以降はまだやったことの無い、しかもまだ出来てない演目が予定されています。いったいどうなるのか・・・わかりません。

会場は、知る人ぞ知る国立駅前の「ギャラリービブリオ」です。至便な所ですので、一度ご来場ください。ギャラリービブリオのブログをご覧下さい。

よみがえる説経祭文の夜「第一夜 えっ、 魔界転生 ?」 - 蕃茄庵日録(ばんかあん。国立駅前・ギャラリービブリオ店主のブログ)

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