稽古場:ゆやんたん文庫 奈良市敷島町
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東京百年芸能祭の三日間

ようやく、涼しく秋らしくなりました。山はキノコ盛りですが、百年芸能祭も益々増殖中です。東京百年芸能祭の粘菌がじわじわと日本を侵食するのでした。

第一日目は、2年ぶりの「ギャラリービブリオ」での「旅するカタリ」の開催でした。コロナを生き延びて、懐かしいお顔を拝見できただけでも、ひとつの奇跡かもと思いました。

百年芸能祭旗に合わせて、百年幟旗も出来ました。さらに、ビブリオのオーナー十松氏所有の牛頭天王半纏をお借りしての華やかな背景となりました。なにしろ、私の守護神ですから心強いこと極まりなし。

 さて、今回は、新作の「熊野之御本地」(ごすいでん)を仕込んで参りました。その後の説経に色濃い影響を与えた筋立てです。古代インドのマカダ国の王宮の話が、なんで熊野権現の本地なのか、まったく奇想天外な筋立てです。

 千人の后の中で、只一人お世継ぎをご懐妊された「ごすいでん」(五衰殿とも)、999人の恨みをかって、呪われます。その呪い方は、「五徳を被って蝋燭立てて」鬼となって五衰殿の館に夜な夜な現れ、雄叫びを上げるというもので、信徳丸の継母おすわの牛の刻参りの姿を思わせます。

 ごすいでんは、正妻らの陰謀により追放され、山奥で王子を出産、その後処刑されますが、信心していた十一面観音・観音経の功徳によって、王子は生き残ります。

 やがて、十三歳になった王子の枕元に母が立ち、「私の首が五衰殿の床下に埋まってるので、掘り出して供養してくれ」というのでした。

 詳細ははぶきますが、首は掘り出され、なんと、ごすいでんは、生き返ります。

床下に埋まってるとか、蘇生するとかというのは、「安倍清明」の話に共通しています。

 喜んだ王様は、999人の后を捨て、親子三人と共人を連れて、飛車にのって、東の方向へと飛び去ります。そうして着いたところが、熊野だという話です。

えっ?まじ?それでいいの?という結末です。

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後半は、口先案内姜信子の解説に導かれて現代詩を語りました。この百年に起きた事柄を「記憶」させるための歌たちです。

標準語励行の歌。うたまたひとつ。ほねのうたう。腰まで泥まみれ。

百年芸能祭テーマソング「No Human No Cry」

特に、久しぶりに語った金時鐘氏の「うたまたひとつ」をのせておきます。

うたまたひとつ 金時鐘 - YouTube

 

二日目の日中は、三鷹学童保育「げんこつ組」でピアノ解体バラバラショーのお手伝い。三味線体験もほんの少し。それから、駒込に移動して、夜は、東京琉球館主催の百年芸能祭が開催されました。

第一部は、石牟礼道子苦海浄土から「草の親」。

じょろり 草の親 (ミルク飲み人形) - YouTube

第二部は、仕切り直して、チンドンから賑やかに。これは、予祝。この日は、ピヨピヨ団として、以下の曲目をお送りいたしました。

標準語励行の歌。千金丹口上。死ぬふりだけでやめとけや。水をくれ。調律。チンライ節・酋長の娘。鷲ぬ鳥・デンサー節。No Human No cry。

名調子の二題を以下のリンクからお聴き下さい。

千金丹(香川の薬売り口上) - YouTube

鷲ぬ鳥・デンサー節 - YouTube

打ち上げも盛況で、ありがとうございました。皆さん、終電に間に合いましたか???

 

三日目は、八王子です。辛淑玉さんの旗振りで、こぎつねの家のスタッフさんたちが手伝っての手作り百年芸能祭。手作りお弁当が本当に美味しかったです。ありがとうございました。

第一部は、市川幸平さんの紙芝居「人生ラムネ」。応援、末森英機さん。主人公のお姉さんにもきていだき、良かったです。認知症への対応は、人ごとではない。とても、ニコニコしてられない。それより、自分がそろそろあぶない・・・

第二部は、辛淑玉(シン・スゴ)さんVSピヨピヨ団。百年の記憶を刻見込む時間。

十五円五十銭。標準語励行の歌。星めぐり(末森英機)。関東大震災関連民謡メドレー。ベラチャオ(佐藤直子)。ヤルミウン・サラム(辛淑玉・姜信子)。東京こぎつね娘。調律.。No Human No Cry。 

特に、関東大震災関連民謡メドレーは、3月の東京現地研修の時に歌った供養メドレーで、震災後の虐殺事件の被害者達のお国の歌を歌って供養するものです。これぞ、躍り供養。

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また、ピヨピヨ団が毎回、百年芸能祭で、必ず歌う歌があります。その一つは、

韓国のハン・ドルが作詞作曲した「調律」という曲です。翻訳、姜信子。「お休み中の神様」に、「この世の中を調律し直してください。」と頼む歌です。ピヨピヨ団が、騒いで、神様をおこしてやるという意味も込めます。

調律(조율) - YouTube

そうして、おいて、「世界はかわるはず」「世界をかえてやる」と絶叫するのが、ボブ・マーリーの「No Woman No Cry」の替え歌。「No Human No Cry」(作詞:姜信子)です。

No Human No Cry - YouTube

 

東京での百年芸能祭を支えてくれた皆皆様、ご来場いただいた方々、ありがとうございました。「また、来年も」の声に元気をいただいて、百年芸能粘菌をばらまいていきたいと思います。今回はかなり濃厚感染者が発生した模様。感染者は、以下のステッカーを目立つところに貼ってください。